「握手」を通して気づいた子供たちの「世界の捉え方」

ルロイ修道士

「握手」を通して気づいた子供たちの世界の捉え方の違いに気づきました。
中3国語教材で井上ひさしさんの「握手」というお話が載っています。
自分の死が近いルロイ修道士が以前孤児院にいた子供たちに会いに行く話です。
この話の感想を聞いてみるとグレーゾーンの次男、
ASDの長男それぞれの捉え方に特性がでているなぁと思いました。

グレーゾーン次男のルロイ修道士の捉え方

授業参観で握手とをやると言うので、次男にどんなお話か聞きました。
次男「ルロイ修道士がヤバい人なんだよ」
私 「ヤバいってどんな風に?」
次男「目がイッちゃってるんだよ」
私 「イッちゃってる」
教科書を持ってきて・・・・
次男「ほらこれ見て。目がイッちゃってるでしょ?」

グレーゾーン次男は物語の内容を聞いたのに、挿絵の話しかしません。
もちろんまったく物語の内容が伝わらない。
そこで3年前に同じ授業をしたであろう長男に「握手」ってどんなお話か聞いてみました。

アスペルガー長男のルロイ修道士の捉え方

私 「長男、握手って話おぼえてる?
次男に内容聞いてもルロイ修道士は目がイっちゃっている人って言うだけでわからない。
どんなお話だった?」
長男「子どもを殴る酷い大人だよ。」
これまた内容がわからない。
つまりルロイ修道士は目がイッちゃてる、子供を殴る酷い大人・・・?
いやいや、学校の教科書にそんなヤバい人登場しないでしょう。
アスペエルガーやASDは背景や感情よりも、目に見える事実を重く受け止める特性があります。
そして長男はその傾向が強いです。
その結果、物語の中の「子どもに手を上げた」という行動に注目し、
その行為そのものを否定的にとらえていました。

授業参観でのルロイ修道士の捉え方

いざ授業参観!!
授業はピンポイン、ルロイ修道士はどんな人?でした。
授業の中で、クラスの子どもたちから出た意見は、

「ルロイ修道士は子どもが大好きな優しい人」
「愛情を持って厳しく接していた」

といった、ポジティブなものが多かったです。
もちろん先生の授業の進め方もポジティブなとらえ方でした。
同じ文章を読んでいるのに、これほどまでに受け取り方が違うのか。
ビックリしたけれど面白いなと思いました。
そして家に帰ったら子供たちと一緒に私も読んでみることにしました。

私のルロイ修道士の捉え方

大人の目線で『握手』を読むと、ルロイ修道士の子供を思う気持ちを感じました。
そして感情を抑えきれず手を上げてしまったことへの後悔や苦しみが伝わってきました。
単なる暴力ではなく、子どもを本気で思うがゆえの葛藤があったのだと感じます。
長男と次男の感情を読み取ることが苦手なのはやっぱり特性なのでしょう。

因みに、物語の中でルロイ修道士が食堂でオムレツを頼みます。
そのオムレツを食べたか食べていないかで長男と次男は討論していました。
ちゃんと文の中に手をつけてないと書いてあるのですが、
読むことが苦手な次男は食べたと言い張ってました(笑)

どれが正しいか・間違っているわけじゃない

握手を通して見えた子供たちの世界の見え方。
たしかに今回気づいたのはほんの一部。
それでも、私には興味深い物でした。
同じ物語でもこんなに違う捉え方がある。
子どもたちそれぞれの特性や感受性によって、「見え方」は変わりました。
もちろんそれぞれの見方でどちらが正しい、間違っているではなくて
他人の「見え方」も受け入れていけるようになれたらなと思います。